(注)
今回の記事は、アメーバブログで、運営から「閲覧禁止の措置」を受けたので、
ライブドア・ブログに書いています。
これは、アメーバブログで書いたモノを、そのまま転載しています。


【 サッカー評論家、西部謙司を批判する。
日本人評論家は、歴史観がおかしい。】

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【 日本人は、1990年代のACミランの凄さを分からないのか?
日本人は、欧州の「無敗記録」というのを知らないのか? 】

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【 1990年代前半、ACミランがFCバルセロナのサッカーを
欧州チャンピオンズ・リーグ決勝で、4-0で破壊している。
「欧州チャンピオンズ・リーグ史上、最悪のスコア」である。
しかし、その事実を避けて説明しない西部謙司の酷さ 】。

                               

【 西部謙司は、
「ACミランのサッカーは、10年後、FCバルセロナのサッカーによって負けた」
と説明している。
しかし、1994年、ACミランがFCバルセロナを破壊した試合は、一切、説明しない酷さ。
また、10年経ったら、ACミランのメンバーは高齢化して引退していた。
しかし、その点については考えず、
「リオネル・メッシ、チャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタら
FCバルセロナのサッカーが、ACミランのサッカーを倒し、
『サッカーは進歩した』」と説明する西部理論の珍妙さ。 】



私は、このブログにおいて、結城康平、林舞輝、西部謙司、そして日本の雑誌「フットボリスタ」、「フットボール批評」、「ワールド・サッカー・ダイジェスト」、「ナンバー」などがやる、「新戦術、詐欺商売」というのを何度も批判している。
その理由は、私は、
サッカーというスポーツでは、戦術はほとんど出尽くした」という考えを持っているからである。
私は、
「サッカーは、『11人 対 11人』で、ルールはほとんど変わらず、100年以上、歴史が積み重なり、先人によって色々なアイディアが実行され、新しいモノはもう出にくい」
という考えを持ってます。
そして、私は、海外の著名な評論家が、これと同じような考えである事も紹介した。
私は、最近、この「新戦術、詐欺商売」をやっている1人である、西部謙司の記事を読んだ。 
その記事は、2020年1月25日に発表されたモノである。
私は、とても驚いた。ツッコミどころ満載の記事であった。
その記事では、西部が「サッカーの戦術に関する基本的な見解」を披歴していた。
それが以下である。

記事タイトルは以下である。

“バルサの模倣者”を食い尽くすリバプール。黄金期ミランの進化系…戦術は転がりながら前に進む


私は、この時点で、もう驚いていた。

つまり、西部謙司は
現在のリバプールは、1980年代後半から1990年代前半に黄金時代を築いたACミランより上である。進化したモノだ
という考えを表明しているのだ。
私は、これにとても驚いた。

「当時のACミランより、現在のリバプールの方が上だ」などと考えている人物が、この世に居るという事にとても驚いた。
そして、西部謙司は、この記事の中で、自身のサッカー観を披歴していた。
それが以下である。


「攻撃が優勢になったら、次には守備が優位になる。
ただ、同じようなことを繰り返しているようでいて、やっぱり前には進んでいる。
リバプールのプレスは、かつての(1990年頃の)ミランのそれとは違っていて、元に戻っているわけではない。戦術は回りながらも、転がるように前に進んでいるのだろう。
プレッシングのミランが登場してきた時は衝撃的だった。
ゆっくりとパスをつないで組み立てていこうとする古典的で技巧的なチームは、ことごとくミランのハイプレスに食い尽くされていた。
だが、そのミラン方式のプレスが世界的に普及した頃、今度はスペイン代表とバルセロナが規則的な守備戦術の隙間を突くパスワークで、ミランの追随者たちを総ナメにしてしまう。
 今は、バルサの戦術をようやく吸収したチームがリバプールのカモにされている。
そして、そのうちリバプールの模倣者が次の波にさらわれていくのだろう。」


以上である。


私は、これを読み、ツッコミどころが満載だと思った。
そして、日本人評論家たちが、
「歴史と共にサッカーは常に右肩上がりで進化しているモノだ」
という強固な考えを持っていることを確認した。
また日本人評論家というのは、「歴史を丹念に見る」という姿勢が不足しているように思った。

まず第一に、西部謙司は、「当時のACミランの強さ」 というのを理解していないと思った。
当時のACミランは本当に強くて、イタリアでは、「強いミランにはもう飽きた」というフレーズが生まれたぐらい、本当に強かった。
ACミランは1990年代前半、リーグ戦で、「58試合無敗」という記録を作った。
そして、ミランがパルマに敗れて、無敗記録が終わった時は、大きなニュースになった。
負けたことがビッグ・ニュースになる」というそういう凄いチームだったのだ。
このミランの「58試合無敗」 という記録は、欧州5大リーグでは、未だに「最長無敗記録」である。
21世紀に入って、バルセロナが凄いと言ったって、その無敗記録は、「43試合」である。
リオネル・メッシのバルセロナは、1990年代のACミランの記録は破れなかったのである。
それぐらい当時のACミランはとんでもなく強かった訳であるが、西部謙司は、現在のリバプールの方が進化した形だと言っているのだ。
現在のリバプールは、欧州チャンピオンズ・リーグには優勝したが、
「1990年以来、リーグ優勝していないチーム」である。
このチームと1980年代後半から1990年代前半にかけてのACミランを比べて、どうして「現在のリバプールの方が上だ」と西部が言えるのか? 
私はそこが理解できない。
私は、結城康平、林舞輝、「Leo the football」 という連中が、1980年代、1990年代の歴史を勉強していない「ニセモノ」という事は知っていたが、年配の評論家である西部謙司に至っても、こんな見解を述べているのだから 本当に驚いた。

日本国において、「まともなサッカー評論家」というのは、居ないのではないだろうか?
誰も歴史について勉強してないので、歴史を知らないので、とんでもなく変なことを言っている評論家だらけなのだ。
日本人は歴史に興味がない民族だと思うが、「お前ら、ちょっと歴史を学べよ」と痛切に思う。
これでは、西部の話を聞いた若い世代が、本当に現在のリバプールが凄くて、当時のACミランより上だと思って知識を得てしまうだろう。
私は、「58試合無敗」をやって、約30年経っても、未だに欧州5大リーグにおいて、この記録を破れるチームがなく、「永久に破れないかも」というレベルの記録を作った、当時のACミランの凄さを、現代の若い世代が「軽視する」という現象が起きそうで、本当に問題だと思っている。
私は、ACミランのファンではなく、むしろACミランは大嫌いなチームであるが、西部のこの見解は、とても問題だと思っている。 
そういう訳で、私は、このブログを読んだ方には、
「当時のACミランは凄い。現在のリバプールなんかより遥かに凄い。現在のリバプールが進化型なんて笑わせるな。西部の見解は的外れである」
ということをアナウンスしておく。

そして、西部は戦術について、

「戦術面において、現在のリバプールのプレスはACミランのプレスより進化したモノである」 、故に、「現在のリバプールの方が、当時のACミランより強い」と述べているのだ。

私はこれを読んで、本当に驚いた。
西部は、ACミランの「タソッティ、バレージ、コスタクルタ、マルディーニ」のディフェンス・ラインと その前に居たボランチのフランク・ライカールによる あのディフェンスを何だと思っているのだろうか? 
あの守備より、現在のリバプールが上だと言うのだろうか?
あのレベルのディフェンスを現在のリバプールがやれと言っても不可能だろう。

DF、ファビオ・カンナバーロ
(「2006年、バロンドール受賞」。 ワールドカップ2006優勝)は、
1990年代のイタリアのディフェンダーの方がレベルが高かった」と述べているが、その理由は、このACミランのディフェンスを見て来た影響が大きいだろう。
あれを見て来たので、カンナバーロはワールドカップに優勝し、バロンドールも受賞したが、
「俺達の世代の方がレベルが高い」とは口が裂けても言えないのだろう。
私は、それぐらい当時のACミランというのは、凄い存在だと思っているが、日本人 評論家は、「現在のリバプールは、ACミランの進化型」などと、とんでもないことを言っている。
ACミランには、FW、マルコ・ファンバステン、FW、ルート・フリットという歴史的名手が前線に居た訳だが、現在のリバプールの選手なんか彼らには敵わないだろう。
私は、攻守において、当時のACミランは、現在のリバプールなど軽く上回っていると思うが、西部謙司によると、リバプールの方が進化しているそうだ。
私は、全く理解できない。西部は、サッカーの基本情報を把握していないのではないだろうか? 
そうとでも考えないと理解できない評論家である。
また、西部は、「『バルセロナのパス・サッカー』が、ACミランのプレスを崩した」と説明している。

しかし、バルセロナの「パス・サッカー」を生み出したヨハン・クライフ監督が率いた、
当時のチームは、1994年に「欧州チャンピオンズ・リーグの決勝戦」で、
ACミランと戦い、「0-4」という歴史的惨敗を喫している。
欧州チャンピオンズ・リーグの決勝戦で、0-4という敗戦は、大会の歴史的にも「史上最悪レベル」である。
「4点差つけられて敗れた」のは、史上最悪のスコアの1つだ。
クライフは、「バルセロナの哲学」を生み出した人物である。
そのクライフが、欧州の最高の舞台で大惨敗を喫したのだ。
そういうサッカー・ファンには、忘れられない歴史がある。
この決勝戦は、非常に有名な決勝戦だと思うが、どうして西部の記憶から、この決勝戦が消えているのだろうか?
私は、そこが不思議で仕方がない。
最盛期のACミランは、バルセロナの「パス・サッカー」を破壊した事で、非常に有名な歴史を作った訳だが、どうして西部の解説では、
「ACミランの戦術は、バルセロナに敗れたこと」になっているのだろうか?
これを日本のサッカー・ファンに向けた説明とするのは、おかしいだろう。
誤解を生む説明だろう。

という訳で、西部の説明というのは、非常におかしい。
西部は、
「1980年代後半から1990年代前半にかけて強かったACミランの戦術の真似をしたチームがサッカー界に増えたが、それをバルセロナが倒した」
と説明しているが、ACミランは全盛時に、「バルセロナの哲学」、その大本を生み出した ヨハン・クライフのチームを破壊していたのである。

バルセロナは、1990年代前半、「スペイン・リーグ、4連覇」を達成していて、とても強いチームだった。
しかし、ACミランはそのバルセロナに対して、欧州の大会の決勝戦で、4-0で圧勝してしまったのである。
その後、21世紀に入り、クライフの弟子であるジョゼップ・グアルディオラ監督が、クライフの真似をして「欧州王者」になった訳だが、西部は、そこで 「ACミランのサッカーが負けた」と説明しているのだ。
バルセロナは、1990年代に既にACミランに「大惨敗」をしたのだが、西部はその歴史は説明せずに、21世紀に入り、バルセロナが強くなって、ACミランのサッカーは通用しなくなったと話しているのだ。
こんなおかしな話もないだろう。
西部の説明は、「都合が良過ぎる」と言わざるを得ない。
私は、「西部は、都合の悪い敗戦を避けて説明している」という気がしてならない。
私の説明を聞けば、「西部の歴史の説明」がおかしい事が分かるだろう。
そういう訳で、私のブログを読んだ方には、西部のような歴史観を持つことを止めることをお勧めします。
サッカーは、右肩上がりに進化している訳でもなく、常に前に転がっている訳でもないです。
前の時代よりレベル・ダウンすることは、当然あります。
戦術的にも「前の時代の選手のレベルより、選手のレベルが低くなっている状況がある」わけですから、優れようがないです。
元々の守備能力において、前の時代の個々の選手のレベルの方が高いのに、後の世代が上回り、チームとして優れているという珍妙な話もないでしょう。
という訳で、今回の話をまとめますと、
西部謙司、雑誌「フットボリスタ」、「フットボール・ゾーン・ウェブ」などによって、
「1980年代後半から1990年代前半にかけてのACミランを見下す」、
「現在のリバプールの方が、『伝説のチーム、1990年頃のACミラン』より上だ」
という見解にだまされないで下さい。
当時のACミランは本当に凄いチームです。
西部謙司が、当時のACミランについてよく知らないだけです。
日本人 サッカー評論家は、全員、歴史についてきちんと勉強してから記事を書いて下さい。
こんな事をしていたら、
「『サッカー史に残る 最高レベルの伝説のチーム』を、日本の若者たちが全員、見下し始める」
というあり得ない事態が起きます。
日本人 サッカー評論家たちは、そのような責任を意識し、歴史をきちんと勉強する所から始めて下さい。

以下のリンク先は、今回ブログで取り上げた、西部謙司の記事です。

              ↓
https://www.football-zone.net/archives/242767